近所のビオトープでの出来事
以前7月ごろに、週末のジョギングで公園のビオトープを通った。
丘の麓にあって木立がうっそうとしたところにあった。
水辺がこしらえてあり、それを横断する木道が渡してあった。
まず、木道に入っていくと蒲の穂が目についた。
あまり見かけないが、すすきのような、葦のような先に茶色いきりたんぽのようなものがついている植物です。誠に表現が乏しいが。
昔いに聞いた、騙したうさぎが、ワニに毛をむしられ赤裸になった時に、
この蒲の穂に包まると治るよと言われたと言われるやつです。
「因幡の白うさぎ」である。これは古事記に乗っているものだそうです。
これを思い出したが、通り過ぎた。
もう少し行くと、木道の上を鴨が足を2本投げ出し、体をぱたんと寝かせていた。
雰囲気では、何かトラブルがあってだいぶ弱っているか、もう死んでいるのかと思った。
先ほどの延長線上に思ったのは、これを私が助けると、わたしになにか幸運が訪れる
「鶴の恩返し」のような場面をふと思い出した。馬鹿だなと思いつつ。
でも、ここで私はこの鴨に対して何もできないし、そのまま通り過ぎることにして足早に通り過ぎようとした。
そうしたら、私を恐れることなく鴨がスクッと立ち上がり、横の草むらに視線を落として、まるで見てよと言わんばかりに。
なんだ鴨は大丈夫なんだと思ったのもつかの間、草むらには、小さな子鴨7~8羽がピヨピヨ歩いているではないか。握りこぶし程度のやつが草むらとどちらが背が高いか背比べしているように。実に可愛い。
左側の池にいた小鴨たちを右側の池に移動するために、親ガモが先導したがなかなかついてこれず、待ちくたびれて横になっていたのが瞬時にわかった。確かに、ピヨピヨ泣いているが、あっちに行ったり、こっちに行ったり、なかなか親鴨の方に来ない。
結局通り過ぎるまで5~10分ずっと見ていた。親鴨も安心したように。
このビオトープにを単に通り過ぎようと思っただけで立ち入ったが、いろいろな思いに頭を巡らし、考えすぎと思ったが、この親鴨、小鴨を見て、とてもすがすがしい思いになった。
こんな親子の素敵な光景を見た事ないないと。
ふと、なにかお伽の世界に連れていかれたようだった。