革エプロンおやじ

おやじのポケットの中身を紹介していこう!

皆さん、こんにちは。革エプロンおやじです。

還暦を迎えたおやじのポケットの中身を紹介して行きます

男性目線からの生活の楽しみ方になりますが、女性ブロガーも歓迎です。

弓削島の人の心粋きに感謝

 

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だいぶ前のことですが、広島側から瀬戸内の島を訪れ、

四国今治に抜けたことがあった。

弓削(ゆげ)島にある弓削高専に行くために。

いわゆる学生求人のご挨拶である。因島からフェリーで10分ほど。

晴天の日で、フェリーもいい風に吹かれ、何といい出張だと思い。

島に到着してさあ行くぞと思っていると、閑散としている。

バス停は見えたが、バスもタクシーもいない。

初めての地に行くと地図もわからないのでタクシーが便利だ。

その地の様子もドライバーに聞くこともできるので、好きである。

今回はどうして良いか分からず、歩いていた40代らしきの女性に、

タクシーはどこかにありますかと尋ねた。

「この島にはタクシーはないわよ、バスも行っちゃったわね。」

こまった! 「弓削高専まで行きたいのだが、歩くしかないのですか?」

「そんなに近くはないわよ」

こまったな! 約束の時間も迫っているし。

「ちょっと、一緒に来て。トボトボ。ここで待っていて」

自分のお店から出てくると「運転できる? この私の車を使っていいわよ」

と言って、車のキーを差し出してくれた。「この車よ」

「はーっ?」と全く予想外の展開。

大丈夫よという顔をしている。

ありがとうございますと言って、改めて名刺を差し出す。

スーツ姿とはいえ、その時の私には、こんなことしかできなかった。

こんな、見ず知らずの奴を信用していいんですかと思ったが、そんなの気にしていない。「私、夕方までお店にいるから、その間使っていいわよ」とさらり言う。

お昼ごろには戻りますから、ありがとうございますとしか、言いようがない。

鍵を開けて車に乗ってみると、軽の車であったが、まだ新車の香りのするやつ。

メータを見てもそれが分かった。

そして助手席には、ジャケットが置いてあり、その上には腕時計も見えた。

いいのかね言いつつ、学校までの道を親切に教えてくれた。

確かに乗ってきたフェリーは、車など詰めるものではなく、海を越えてどこかに行くことは不可能な世界。

ここまで、信用してくれたのだから、悪いことができるかなと思ったが、その余地はまったくない。

学校に行った時に、この話題をした。弓削島の人の優しい気質を本当に感じましたと話した。

そうしたら、島でもそんな話は聞いたことありませんよ。よく、そんな事をしてくれましたね。

はー、としか言いようがない。珍しいとのこと。

帰りに海が見えるところを寄り道したりしたけど、乗り回すのど広い島でもない。海に飛び込むことはできないわけだし。

一通り、仕事も余暇も過ごし、お店に戻った。

ありがとうございましたとして、鍵を返した。お礼にと言って多少の現金を渡そうとしたが、そんな事をいいわよ、今、準備で忙しいからと言われ、終了。

島で困っている人がいたとはいえ、車の鍵を渡して自由にしていいなんで、こんなに良い人がいるんだね。

日本て凄いところだと改めて感激した日だった。