革エプロンおやじ

おやじのポケットの中身を紹介していこう!

皆さん、こんにちは。革エプロンおやじです。

還暦を迎えたおやじのポケットの中身を紹介して行きます

男性目線からの生活の楽しみ方になりますが、女性ブロガーも歓迎です。

革のペン立て、おもしの作成

新型コロナウィルスのお陰でいろいろなものが変わって来ましたね。皆さんの生活も例外ではないと思います。私の行っている革カバン教室に行くのを今月は控えています。

そんな中でいつもとは異なるものを作ってみようと思い、ペン立てにトライしました。

革に経験が少ない方もいると思い、基本から書いてみようと思います。

これは、私が手縫いで作ったカバンです、というと目がきれいですねと言われることがある。それは、着物、衣類を手縫いで縫う時に中々目がきれいに揃わないという事があるので、そのイメージでの発言に思われます。革の場合はちょっと事情が異なります。

それは針で革を刺しても貫通するのは難しいです。革の厚み、剛直性もあるので。それが布とは異なります。

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従って、写真のような目打ちを革の上に立て、木づちや木棒で叩き、革に穴を開けていきます。その時には、革は例えば2枚の革をゴム糊のような接着剤で貼り付け、革端から3mm程度の位置に線を引いた上で、この目打ちで穴を開けていきます。革が薄ければ2枚の革に対して貫通穴を開けてもいいし、マーク程度の打ち深さにしておいて、マーク部分を菱切り等で2枚分を貫通させる方法を取ります。写真の目打ちは、9本の目がついている9本目打ちであり、1寸(33mm)の幅に9本の縫い線穴を形成する事が出来ます。細かい縫い目で繊細なものを縫う時には10本目、12本目などを用い、大きなものを縫う時には8本目など荒い目のものを使います。そして、9個の目が打たれたら、次は9番目の穴に9本目打ちの1番目を充て次の9本の穴を開けて行きます。

そうすると、今は9+8=17個の目ができる事になります。1つはオーバーラップして重なる事で、均等な目を作っていけます。もちろん、直線に縫う場合に限ってです。曲線部を縫う時には、右にある2本目のもので打ちます。持ち手のところには双方に9という刻印があり、同じピッチで目数だけが異なります。これで、同様に1目をオーバーラップし、もう一方を曲線に合わせてピッチを変えずに曲線状に目の形成ができます。よって、布のような技量が直接に目の綺麗さに影響する事は少ないかもしれないが、縫い方で反対向きに目ができる事は当然あります。

 

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今回作成したペン立てがこれです。左から順に作っていきました。右は小さいですが、中に円筒形の金属が入って居て、上部に蓋も付け、重しとして作成しました。革に型紙でマークを付ける時に型紙がづれないように重しとして使います。高さ5cmですが、540gあります。

さて、これを作成する時には上記の説明とは異なった作り方をします。

まず円筒形の胴の部分を作るのに、長方形に切った革の左右端に縦の目打ち及び革の下端に横の目打ちをします。

そして、それを円筒形の筒(つつ)に巻き固定します。筒は、スプレー缶で下の固定部が出っ張っていないものです。そこに革を巻き付け、更に梱包などに使うビニール紐で結わきました。ロープワークで良く出てくるクラブヒッチというやつ。1本のヒモで反対向きに二つの輪を作り、それを重ね、ここでの筒に巻いた革の上に通すという簡単なもの。両端のヒモを引くと革を締め付けほどけません。逆に引かないとすぐにほどけます。

この状態で縫っていきます。ただ、穴は筒の中心に向かっているだけで今の目的の横に縫っていく事はできません。よって、ここで前述の菱切りを右の穴に差し、右の穴に向かって革の厚み分の中をとして左穴に貫通させます。もちろん、切り先端が左穴にうまく出てくれれば良いですが、手前に出たり、奥に出たりします。そして針のついた糸を通す。何度も菱切りでトライしていると、穴ー穴間を開通させたつもりでも、針に置き換えた時にも穴を探す事になります。糸には、その両端に針をそれぞれに付けます。よって2回目からは、一つの開通穴に対して左にある針は左穴から右穴に向かって通し、右側にある針は右穴から左穴に向かう事になります。これを繰り返して、上から下に縫っていきます。厄介なのは、穴の中で先に入った糸に次の針が貫いてしまい、身動きが取れなくなることです。要するにお祭り状態。これがあると針を抜いて混沌状態を解決しないといけません。これで縦縫いは終了です。これをすくい縫いというのだと思います。

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次に底革の取付け。まず筒の革径にうまく収まる円形の革を切って、そこに円周に沿って目打ちをします。コンパスで円を描くと革の中心に針穴が残るので型紙を作りました。型紙でうまくハマるか確認もできるので。そして、スプレー缶に巻かれた革を下方向に移動させ、3mm程の革端を出して、そこにはめます。そして、縫うべき針穴は直角方向に離れた位置にあるので、菱切り登場になります。底革の穴から、最寄りの円筒革の下側に形成した穴を目指して革の中を探していきます。そして穴ー穴間が貫通すれば、針で縫っていく。そして、次の穴を菱切りで作っていく。

次に問題になるのが、同じ目打ちで底革穴と円筒革の目を作っていますが、形成している位置が次第に離れていきます。底革穴の位置の方が、円筒穴に比べて角度が早く進行して、対の穴の距離が遠くなっていきます。半径が異なるので、小さい半径の方が進行角度が早くなるために。これを避ける為に駒合わせ縫いをします。例えば、双方5番穴に針が出ている時に、次は、円筒5番穴にいる針は円筒革6番穴を通過し、底6番穴を目指します。底5番穴にいる針は底6番穴を通過し、円筒6番穴を目指します。しかし、ずれが大きい時にはそうしません。円筒5番穴にある針は、5番穴から円筒革の6番を目指し、一方の円筒革の5番位置にある針は、円筒6番穴から底5番穴を目指します。よって、円筒革の目数だけ6番に進み、底革は5番を維持し6番には進みません。よって、底革の5番穴には、円筒5番からの穴と円筒6番からの穴の双方のルートを菱切りで形成する事ができるからです。この半径の小さな方で駒調整しながら、円周を作っていきました。菱切りで通す時に穴とそこから出てくる切り端を見る事に集中するので結構大変です。正直、老眼には疲れます。そしてお祭りしないように細心の注意を要します。

そして予想外に難しいのが、円筒に沿ってジャストにあうように側面革(今まで行っていた円筒革の長方形の長辺側)の長さを決める事、そし底革の径と合わせてることです。大きいペン立てには、側面縫い線部が盛り上がっているし、底革に対して余っていますね。要するに、中学校でやる立体の展開図と円周率を使って行う計算と現実とはギャップがあります。重し金属を測量して、計算で出すもの、衣類用の巻き尺で測った周の長さ、革を重しに巻いてみた周の長さはどれも異なりました。えっ、何故。今まで学校で習った3.14計算は何だったの?という感じです。恐らく革の厚みと革の裏側(床面)の凸凹やもさもさ感かなという感じです。最後は3mmの厚さの革を巻いて重なり段差の部分にエイッと印をつけて決めました。それで切って重しに手で巻いて、ヒモでクラブヒッチで固定しても革の端通しはきちんと付かず(寸足らず)、縫って引っ張り込んで革の両端が初めて合った感じでした。

こんな事に悪戦苦闘をして楽しんでいます。ちょっと長い文書になってしまいました。