革の手縫いの楽しみ
前のブログでシステム手帳について記載した。
当たり前のように思ってあまり書いていなかったが、手縫いで作成している。
それをいうと、浴衣のお裁縫がまずイメージを持ち、手で針や布を小刻みに動かし、目を揃えるのは大変だという事で質問を受ける事がある。
もちろん、この方法では牛などの革は縫えない。
下記が10本菱目と同じピッチの2本目。
10本目は一寸の中に10本の目がついている。
これを革の上に立て、木づちで叩く。そうすると均等な目が打てる。連続で打つ時には、10番目の目に、次に打つ1番目を重ね、ピッチが均等に連続することでつなぐ。
でも、それは直線部に限った話で、曲線部は2本目が登場して、同ピッチを維持する。
下地の緑はゴム台。この上だと革がスムースに切れる。革と共に台に切り込みが入るからだ。同様に菱目で穴あけもこの上で行ける。
革は2枚、3枚をゴムのりで予め借り固定した上で、穴あけする。革が厚い時には菱目で無理して貫通させることをせずに、後から菱切り(先が平たいキリ)で一穴一穴を追加で刺して貫通させます。
糸は、一本の糸の両端にそれぞれ針を刺し、一つの穴に糸のセンターがくるようにして、糸を革に対して左右対称に糸を通します。そして、次の穴に一方の針を刺し、その次に同じ穴に対して他方の針を刺し、常に左右対称に糸が配置されるようにします。
だから縫い目が揃うのが当たり前かといえば、不均一になる要素は様々存在する。
やっていて、一番嫌なのが同じ穴に順番に糸を通すので、既存の糸に次の針を通してしまい、引っかかる。お祭りしたという状態。糸は細い糸を束ねてだけなので、糸の中に糸を通すことができる。革縫いの時には、蜜蝋(みつろう)を付けて糸強度を上げるが起きる時にはお祭りが起きる。ルーペでのどこが絡んでいるか観察しながらほどく。それでも、絡み構造が読み取れない時には、針から糸を抜いてそれぞれの糸を開放します。
そんな事が起きないように細心の注意を払いながら行っていますが、なかなかうまく行かないとその都度思います。
最近はキットも随分出ていますので楽しんでいる人も多いかもしれません。徐々にこんな風にしてハマっていくのかなと思います。
昔、母親がこたつに入り、浴衣や半纏を縫っていたのを思い出す。眠そうなのによくやっているなと当時思っている時期もあったが、まさか、それと同じことを革でやって楽しむとは思ってもいなかった。黙々と無心に縫っている時は結構楽しいのです。現状は、家族ユーザーへの要望に沿っての納品になっていますが、いいねと言われるとやらざるを得ない。私の手元には、真綿の入った絹地の銘仙の半纏が今でも存続しているのだから、大したもんだ。